対談「雁屋哲さん×井戸川克隆さん」

 

K(雁屋) 鼻血は?

 

 

 

I(井戸川) 出てますよ1日半~2日に一度(鼻血のついたティッシュを持ってきて)

 

あまり見せたくはないんでけど。今日はわざわざ持ってきたんですよ。

 

 刈谷先生と私たちが、被曝してない連中から被曝を否定されましたよね、鼻血なんてありえないと。彼らは被爆してないです。 

 

 

 

K 皆さんこれは井戸川さんが自分が出した鼻血を貯めてあるんです。異常だなんて言わな

 

いでくださいよ。真実を伝えるために井戸川さんはこういうことまでしてる。ほんとにこれだけ出てる。ぼくもこれだけ出た。内部被曝のたった一つの事象がこれです。

 

他にも何かあります?

 

 

 

I そうですね。特に当初は雁屋さんがさっき言われたように金属サーチしましたね。ほとんどの方はわからなくても金属探知してるんですよ。それから始まって、疲れやすいとか呼吸器系が悪くて声が出にくいとか、

 

 

 

K 周りにもそういう方います?

 

 

 

I はい、いますし、最初の頃先生の漫画でね鼻血問題で騒がれた頃、町議から「おらは出てない」と言ってたのが、最近になって「出たわ町長」、という人もいます

 

 

 

K そりゃあそうですよ、だからそう、いまごろになっていろいろ症状でちゃって諦めて妥協しちゃってる人いますよ。そういう時どうするの?

 

 

 

I でも一過性で終わるわけじゃないから。晩発性ということでじわじわと重くなるばかりですのでこれからの問題じゃないかと思いますけどね。

 

 

 

K お子さんとかは?

 

 

 

I 甲状腺がんとして正式に認められた子供はいないです。双葉町はゼロです。13日から14日にかけてヨウ素剤を飲ませたのが良かったのかまだ、浪江町も大熊町も出てますが双葉町は出ていません。当時の町長としては役目は果たせたかな、と思います。

 

 

 

K 皆さんご存知と思いますが井戸川さんは双葉町の町長であられた方です。双葉町というのはまさしく福島第1原発の土地ですよね

 

 

 

I いつの間にか主役になってしまってしまいました。本当の主役は大熊町なんですね。大熊町が1~4号機全部壊れたわけですから、双葉町の5号機6号機は放射能出していないので貰い火事みたいなものなんですね。私が目立つことばっかりやったために、双葉町が原発の主人公になってしまってちょっとやり過ぎかな?と反省しています。

 

 

 

K 今町民は?

 

 

 

I ほんとに悔しいですけど、事故前の防災訓練・避難訓練から言うと、雁屋先生言うように福島県内に住んじゃいけないです。一気に全町民をこっちに引っ張ることができなかったもんですから、とりあえず身近にいた町民を連れてこっちに来て、残った町民を県外に出そうと思ったんですけど、場所を見つけるのに相当時間がかりました。

 

見つけた時に、今の知事に場所を見つけたから県と県の話し合いをするためにトップ会談をしてもらうために茨城県と話し合いをして欲しいと申し入れをしたんです。けどそれをやってくれなかったんです。従って双葉町民は二つに分かれてしまって分裂状態。

 

逃げた者と県内に留まった者で感情的にうまくいっていない。感情的な問題で街が壊された。

 

 

 

K 相当大きいですね

 

 

 

I 町そのものも壊されましたけれど町民のそういった問題も、原発事故で壊されました。

 

 

 

K コミュニティが壊れたっていう話あちこちで聞きます。国が決めた安全基準規制あるいは基準はその線引きは全く恣意的なもので、たった線1本で保証金も違う、祭りもできなくなって。コミュニティが。

 

 

 

I 安倍総理が勧めようとしている緊急事態法は無くても、災害の時は十分対応できる。阪神淡路大震災の時に現地に対策本部がなかった。その反省から現地に対策本部を作ることになっていた。でも、原発事故が起きたら対策本部を作らなかった、日本政府が。とにかく中央でなんでも決めちゃった。線引きから避難の問題など、避難に必要な放射能汚染の汚染問題、全て現地策本部で私たちも参加して決めることになっていた。事故依頼、地元に参加させないで、国と県だけで全部決めて来た。その結果です。区域もそうだし線引きなんて、われわれが参加してれば住人に合った判断をするし、求めますよね。それを全然やらないで、来てしまった。

 

 

 

K 結局住民の要求とか意思とか無視して決めてしまう。

 

 

 

I もう、すでに独裁になってましたね。なんでも自分勝手なんでもスムーズに決めてしまう。私なんかから入ったらもうむちゃくちゃだったでしょうね。

 

 

 

K それだったら政府の役割はなんですか?国民を守ることではないんですか?

 

 

 

I 安部さんは、いいこと言ってますよ。国民の幸福追求権と言っていますが、私たちは対象になってないですよ。棄民ですね。熊本でまた同じようなことをやって、あれはだめですよ。現地が希望を行って、現地の要求に対して国が動くことが絶対必要ですから、緊急事態なんて言って、危ない方向に国民を日本の国を持っていこうとしている。このことについては皆さん大反対してください。ちゃんと準備してあったことをやらないためにいま苦労してるんです。それを政府がしようとするのが法律なんですね。逆なんです。現地に合わせようとしているのが法律なんです。

 

 

 

K 井戸川さんが町長お辞めになって、その後双葉町はどうでしょうか

 

 

 

I どうでしょうね。わからないです。私がいるとどうも対立軸でものを言ってるように、町議会とらわれちゃってうまく伝わらないところがあって、上手くいっているのか町民に判断してもらうしかない。ただ残念ながら彼、新しい町長が選挙公約で「仮の町」って言ってたんですけど、いつの間にかそんなのどこかにやってしまったし、「町民とよく話し合って」とも言ってたのも、どこかにやってしまった気がします。

 

 

 

K 双葉町時代には?

 

 

 

I この事故前に、大井原発の3号機の爆発事故の被害予想が過去に出てたんです。その時の予想必要年数が50年なんです。だから5年で帰れるとか帰そうなんてとんでもないことをやっているんです。ちゃんとした50年というものが計算して出てたんです。被害も予測してたんです。

 

 

 

K 言うの忘れたんですが、除染というのは、全然本当には除染になってない。典型的なのが、飯舘村で水田に近くの山から持ってきた土を埋めている。そうすると外見上の線量は下がる。しかし、水田というのは農民が50年も100年も200年もかけてつくりあげた大事な土地、土なんですよ。備前の陶芸はお茶の世界で高く評価されているんですが、備前の陶芸の土というのは、水田の一番下の土を掘った100年200年300年たった土なんです。そこの土が非常にこなれていて備前の陶芸に非常にいいです。水田の土地の下の土は流れていかない。今私はオーストララリアに半分住んでますけど、オーストラリアの農業はちがいます。土の上に種を蒔いて水をまくだけです。そこに一旦乾燥して風が吹くとせっかくそこまで作り上げた表土が飛んでしまいます。しかし水田はそうではなくて養土を溜め込む素晴らしい農業装置なんです。それを除染と称して、全然関係ない赤土を埋めてしまう。それが除染の一つの典型なんです。除染というのは周りの家の薮とか木とかを刈るだけ。その土を袋に詰めているだけ。儲かっているのはゼネコンとゼネコンの下請けをやっているヤクザだけですよ。福島のヤクザは広域暴力団の一つの組の親分が下っ端だったのが福島の事故があって人入れを行うようになって広域暴力団のトップにのし上がったそうです。いかに福島がヤクザに金をばらまいているかという証拠です。そしていかに意味のない除染をしているかということです。井戸川さんもおっしゃっていますけど、別に無理ですよね除染、ホントの除染じゃないもん。

 

 

 

I 福島県内は中間貯蔵施設、全体がそうです。それをただ場所の移動しているだけ。除染を必要とするといことは人が住んではいけないということ。人を住まわせながら除染するというのはいかに呆れたことをやっているか。これは私県庁に何度も言ったことあります。除染が必要なことはもうそういうことを認めたんだから人を住まわせないで、一旦人を離して、ゆっくりとやることであって、除染可能かどうかは関係なく、人を住まわせる、人を移動させないためにやってるカモフラージュに過ぎない。除染になっていません。

 

 

 

K 先ほどのお墓にフレコンバックが山積みされている写真、いたるところにフレコンバックの山がある。フレコンバック自体が放射能が出ている。その近くに人を住まわせるなんて、どうしてそんなところが避難解除地域に指定されるのかどうしても納得いかないし、そんな事に納得するのは日本人だけだと思います。ちょっと心のある人間だったらそれがいかにいい加減なものかわかると思います。井戸川さんおっしゃってるようにフレコンバックは中間貯蔵施設でしかないですよね。福島今全体。

 

 

 

I これからもそうですね。山の面積もものすごく大きいですからそれ全体やるわけにいかないから。人の住んでいる限られた面積しかやっていない。それも、その後、除染といって良いでしょうかね。本当に除染って言葉はダメだって当時の政府対策本部にも言ったんですけど。自然界は除去、放射能除去ぐらいは無駄だ。未来永劫。除染っていうことをやったのは上の草を少し土を刈ってそれを片付たとか。少し表土をいじったとか、家の周りの近くから斜面20メートルだけやってあとはやらないわけです。雨が降って流れてきたら下りてくるんですね。降りてきたところは外部から来た人に対して、それは測らないでくれって言う。このようなことやっている除染は呆れて物が言えない。人を馬鹿にしてるというのも甚だしい、これが福島県の今出来事全てです。子供たちを被爆させておいて放射能の影響じゃないと頑張っている医者がいるということは福島にとってはとんでもない事実なんです。地球上に見限られた福島県がクローズアップされてくると思う。困ったものです。

 

 

 

K アワープラネットTVで28年目のチェルノブイリの子供たちを流していた。実に様々な症状を訴える。今の子供たちが15歳ですから、被爆した子供たちではないんです。被爆した人の子供たちの孫くらいの世代。動くのも嫌だ。外に出るのも嫌だ。家の中でぼんやりしたい。体を動かすのがいやだ。低線量被曝した場合に内部被曝で赤血球が傷つくと、赤血球というのは酸素を運ぶ機能があります。赤血球が傷つくと脳に酸素が働かないので、脳が上手く働かずに何か動きたくないとなる。そいうことがチェルノブイリで一つのクラス30人から50人のクラスの10人くらいそうだという実際の記録を見ました。

 

なぜアワープネットTVでやったかというと、実はそこに行ったのが福島医科学大学の医学長の山下俊一という男です。山下俊一という男とその親分の長瀧重信という男がチェルノブイリに派遣された。派遣したのは笹川了一というかつてA級戦犯で船舶振興協会、競艇ですね、競艇の大ボスそのおっさんの笹川了一財団。笹川了一財団がなんで派遣したかというと笹川了一財団というのは原発推進ですから、学者たちも全員原発推進の目的で、チェルノブイリ行って安全だ安全だ、が派遣した。

 

この山下俊一が福島に送り込まれたんでしょう? 「笑ってれば10ミリシーベルト大丈夫」といったんでしょう?

 

 

 

I 山下俊一は「ニコニコしている人には放射能は影響はない、くよくよしている人には放射の影響がある」と福島で喋ってます。彼の言葉は動画に残されています。

 

 

 

K ユーチューブに出てます。笑ってれば100ミリシーベルトも影響ない。だから20ミリシーベルトくらい何でもないと思ってるんでしょ。

 

 

 

I 彼の事故前の論文では福島の事故前は多少真っ当な事を言ってる。福島の事故に遭って一番先に彼が福島放射能の毒にやられたんじゃないですかね。

 

本当にひどい状態です。笑い話にならないですよ。

 

皆さん人ごとのように聞いていますが、今度の福島の事故で250キロの圏内の人たちは被爆してるんですよ。皆さんニコニコして聞いていますが、東海原発で何かあったら250キロのエリア考えてください。ニコニコしていられないですよ。浜岡でもニコニコしていられないですよ。皆さんどこに逃げますか?それを考えておかないといけないですよ。私たちこの姿を見て可愛そうだ、あの人たち可愛そうだと思ってくれること自体、皆さん自分を忘れてませんか、と警告を鳴らしたいです。避難する場所作ってありますか? 作らないと私たちのようになりますよ。騙されますから。お金かけて騙すんですもの、かないっこないですよ。私たちは。

 

それに対して必死になって戦ってくれてるフリーランスの方たちいますけど、やっぱり資本家の力負けして最近弱くなってますね。刈谷先生にはもっと日本に居てもっと大勢の人の前でホントのこと行ってほしいなと思いますけどね。

 

オーストラリアは医療被ばく世界一被曝が少ないですよね。医療、レントゲン、CT、の数がものすごく少ないですよ。データ出てますから。

 

 

 

K オーストラリアはダメですよ。真ん中からウランをほって、そこに先住民アボリジニがいる。いま、謝罪のために何か償いをしてますが。それにしたって、ウラン鉱山を返さないとダメですよ。それを買い占めてるのが中国。中国はあと1年間で20個原子炉を作ると言ってる。もう、どうかしてます。誰ひとり使用済み核燃料をどうすることもできない。20万年ほっとかなかったら、ある程度の状態にならないわけでしょう。それを使用済み燃料が六ケ所村で山のようになってしまっている。六ケ所村も、もう流石に満杯になってしまったのでもう受け付けないと言ってる。どうしようもないものを今作って動かしている。川内原発がかろうじて動いている。熊本地震で何ともなかったと言ってるが、何かあれば滅びたわけですよね。地質学的に影響はある。何か起こるんだったら川内原発に

 

 

 

I 地元の薩摩川内の市長さんが何を考えてるか、私は全く考えてないと思いますが、私たちは危険は分かっててもこれほど大きい事故になると思わないで原発と付き合ってきました。従って国民の皆さんが、可愛そうだな、雁屋先生もそうおっしゃってくださっていますけども、でもこんど薩摩川内の原発で事故が起きた時に、なぜ止めないんだ、という人が圧倒的に国民に多いんです。それなのに止めないでやってて事故になった。それ見ろ、あれほど言ってたじゃないかという国民の方が圧倒的になりますね。そうした時に薩摩川内の市民がどこかに避難させて下さい、かくまってください、生活させてくだいといった時に、どうですか皆さん快く受けてくれるでしょうか。私たちはまだ幸いに皆さんが受け入れてくれたからこうして全国各地でこうして暮らせることができますが、今薩摩川内の人たちはどこに避難すればいいんでしょうか。避難はできるんですよ。でも避難生活は何日間じゃないんです。何年間何十年ですから、その地域の人が受け入れてくれないとできないんです。それを市長が考えて再稼働に同意したのかどうかですね。薩摩川内市長も伊方市長もよく知ってますけど、恐ろしいですねそのことを考えると。

 

 

 

K 彼らが再稼働に同意したと言いますけれども、ああゆう日本の選挙の状態というのは民主主義とは言えないですよ。ボスがいてボスの言うことを聞け、と強要する。それに逆らうと村八分にする。原発問題もおなじようなもの。そういう状況になった場合村長以下顔役っていうのがいてどうしようもない。一般の市民が好きで同意するわけがない。ただ福島第一原発で就労できて助かったという人がいた。原発を好意的に言っている人がいた。これは簡単な問題じゃない。ただやはり作る方がいけないんです。住民の人たちを可愛そうだなんて思ったら思っただけのことをしろよと言いたいですね。ただ可愛そうだああ可愛そうだというだけだったらそんないいかげんなことやめてほしい。無礼な言い方だと思う。僕は可愛そうだなんて言いませんよ。可愛そうだなんてそんな感傷的なこと

 

 

 

I 要するに、正確なことを知らされていない。巧妙に情報操作されているところがあって、知らしめられていない中での不幸な出来事であって。全て知っててやるなら良いですけど。

 

ものすごく情報操作とか電力会社の広報部とか長けていますからそういう中で再稼働に同意したなら可愛そうだなというふうに思うんですけどね

 

 

 

K すいません、食い足りない講演で。

 

 

 

I ぜひ、本を読んでいただきたいと思います