雁屋哲講演録(2016年5月7日)

 

埼玉に来るのが怖かった。赤い風が吹いてる。浦和レッズという。横浜マリナーズのサポーターなので。

 

2011年に福島の事故が起こってからから5年経つのですが福島の状況は少しも良くなっていない。むしろどんどん悪くなっている。2014年に美味しんぼで鼻血が出という自分の体験談を書いたところ、それを異常なまでに取り上げて私が嘘の風評だと、風評というのはおかしな言葉ですね、根拠のないことを言いふらす。全く根拠のない噂話。風評。しかし私は事実について書いたのであって噂ではない。私が体験した事をそのまま書いたものです。ですから私が書いたものについて風評というのはまことにとんでもないことで私としては許しがたいことだと思います。

 

人の言ったことをきちんと捉えずに風評だ風評だと言ってみんなで大騒ぎする今の日本社会、これはもう本当にどうしようもない。今見るとあまりお若い方はいらっしゃらない残念ながら。私自身年ですからそんなに言えないですけど若い方が考えてくれないと困るようなことなんですね。私が風評被害と言われていろんなバッシングを受けまして、政治家、大臣、さらには内閣総理大臣まで私のことを風評被害だと言って…。そのあとに本「美味しんぼ鼻血問題を考える」を書いたんですが、その時騒いだ人たちがこれについては何も言わない。全く不思議なことです。これには細かく鼻血がでるメカニズムについても書いてるし、内部被爆の問題も書いてるし、低線量被曝などもちゃんと書きました。それについて対して一切問題にもならないし話題にもならない。ということは皆さんまだちゃんと考えておられないのではないのか?

 

今回の講演会を引き受けるにあたって、色々自分なりに話す内容を組み立てていったのですが、どうもこれは福島の現状についてお話しようと思いますが、福島に対する制度の改革とかそんなことよりも、本当に皆さん自分の体の安全についてきちんと考えておられないので、そちらの方に話を引き戻さないといけない。結局はこの本に戻るしかない。そう思うに至ったわけです。ですから最初は福島の現状についてお話しますが、結局はこの本に書いてあることを繰り返してお話することになりますが、その事はご了承ください。

 

私は2011に福島の原発事故が起こって、それからすぐには福島に行かず、その周辺青森県、岩手県、宮城県をかつて「美味しんぼ全県味めぐり」シリーズで、各県を訪れてそこでの郷土料理を取り上げて紹介していました。私がそれを始めた頃日本は外国の料理をありがたがりまして、日本の料理については何も言わないんですね。それじゃあそれはおかしいだろう。日本にはこんな素晴らしい食べ物料理がある、それをきちんとと取り上げて紹介しよう思って、それからは全県味めぐりというシリーズで。で、各地を回りながらそれを紹介して行こう。地震の被害をまず、福島に行くよりも周りからちゃんと見ていこう。周りを見て、最後に2011年~2013年福島で取材した。2013年あたりから福島は破壊のどん底ではないかと思った。2015年の12月15.16日にかつて取材した福島の地域にもう一度行ってみました。2013年に破壊のどん底かなと思ったけど、どん底の底が抜けていた。底抜けになっていた。

 

ここまで言ってもわからないだろうから、まず除染風景をいろいろ見てきました。私はパワーポイントというソフトが嫌いなもので。(写真をパソコンで映す)実に福島の現実を知るために必要なものなので見てください。

 

ここに見えるのはフレコンバッグという核廃棄物を格納したビニールの袋です(写真・遠目に畑の道沿いにフレコンバッグの山)これは福島に行くと行く先々でこの光景を目にします。本当にうんざりします。みなさんもうんざりしてください。これが福島の現実なんです。フレコンバックというのはフレキシブル、コンバーティブル、バッグというらしいです。ビニールでできていて、非常に耐久性がない、これに核廃棄物をしまっておくというのは非常に危険なんです。2~3年しかもたない。(田畑、民家、元自転車屋さんの庭、墓地などあらゆる所、福島の土いっぱいに積んであるフレコンバッグの山)これがあの美しかった福島の国土のあらゆるところにある。見てください。情けなくてうんざりします。(海岸一帯、フレコンバッグの積み重なる上空写真)こういうふうに積んであります。これは一時置き場です。こんなに積んであります。(フレコンバッグの山の写真)

 

「しゃへい」って書いてあるでしょう。これなんだろうな、しゃへいって最初わからなかった。しゃへいって書いたフレコンバッグの裏に本物の廃棄物をいれたフレコンバッグがある。あまりに放射能が強いのでむき出しにしておけないので、砂を詰めた袋にしゃへいって書いてほんとの廃棄物をいれた袋の周りに壁としておいてある。この中にほんとの廃棄物質がある。それほど強烈なんです。ヤですね。こういうのがあちこちに置いてある。ここにみんながいっぱい持ってくる。何段ですか?4段?5段。袋の強度を越えてますね。ビニールですよ。ビニールの中にいろんなものが詰めてある。何年持つんですか?せいぜい2年か3年しかもたない。この後どうするんですか?これが福島の行く先々にあるんです。

 

写真をお見せします(富岡町の写真。富岡町の駅。車がひっくり返っている。遠く海が見える。)(駅舎に何もない)線路が見えるでしょう?2012年に取材に行ったときのものです。鉄道マニアは廃墟の写真を撮りたいって大変らしいです。まだ駅の残骸が見えます。駅舎も何もない。その代わりに駅の向こうに見えるのはフレコンバッグの山です。これが全景です。(どこまでも続くフレコンバッグの山が海岸に続く)ここに各地から集めた廃棄物を集めてくるんですね。真ん中で作業している人が見えます。富岡町の町っていうのは死んだものとして扱ってる。お墓にフレコンバッグが積んであるこれはもうどこいっても今景色です。ここにかつて人が住んでいたんですね(家の前に犬小屋がありそのまわりにフレコンバッグが積んである。南相馬の自転車屋さんの前にもフレコンバッグが積んである。)本当にかつてここに人が住んでいたんですね。(「政府、東電は国民に謝罪せよ 原発事故の責任をとれ」と書いた立て看板が道に立っている。)中に叫んでこんな看板を書いている人がいます。今の福島の現状を、フレコンバッグの山をお見せしましたけど。これが全景なんです。デイズジャパンという雑誌、そころから借りた写真です。(空から見たフレコンバッグの状況、どこまでも続くフレコンバッグの山。真ん中に重機があるところが一角空いている)真ん中で作業してますね。ここに各地から集めた廃棄物を置いてます。これだけ、フレコンバッグが続いているんです。富岡町は死んだものとして扱われているじゃないでしょうか。今の福島の現状をフレコンバッグの山を見ていただいたけど私が撮った写真じゃなくプロのとった写真もあるけど、その方来ておられないので。(お墓にもフレコンバッグが積んである(写真)。)いたるところにフレコンバッグです。これだけ福島の現状は壊されてしまった。

 

福島の現状はどうなっているのか。原発の実情を知らないといけない。

 

<第一原発の現状1号機2号機3号機4号機の現状(図解)>

 

まず、第一原発4号機はこの間まで非常に危ない状況が続いていた。このところ使用済みの燃料が置いてあった。取り出す事が出来た。1号機2号機3号機は未だにメルトスルーした。圧力内縁帯に入ってきた燃料が全部溶けて下に落ちている。一応今外の格納容器の中にあると言っているのが本当なのか。突き抜けているのではないか。そういう話をしている人がいる。

 

外の核納容器の下にコンクリートの基礎があるけれどいつどうなるか分からない。ある優秀な物理学者が言うには上から水をかけてどういうふうになるかその燃料帯が上からかけた水の温度と燃料帯の温度がちょうど並行状態にあると、そのまま動かない熱いまま下にも沈まないだろう。と楽観的なことを言う学者もいる。メルトスルーした燃料帯がどのようになるのか私たちは言えない。最悪の状況を考えなくちゃいけない。

 

今全然、収拾の効かない原発を私たちは抱えているのです。そしてその福島第1原発から一日に40億ベクレルの汚染水が海洋に流れ出ている。2億4千万ベクレルの放射性物質が空中に飛んでいきます。全然収束するあても何もない。それが今の福島の現状なのです。汚染水ていうのは増える一方でのタンクが第1原発の内部をうめつくしている。タンクを置くところを探すのは大変な作業です。汚染水は増えるばかりです。それに対するも取り組みも何もできてない。それが今の福島の現状で、現状を踏まえていろんなことを考えないといけない。

 

汚染水浄化装置ですが、これがほとんど働いていない。福島の地質的な問題で、汚染水は山から流れ出している。地下から湧き出したものを遮断することはできない。(図解)海にながれる川の水をせき止めることはできない。

 

事故が起きたのが2011年。計算によると、来年あたりカリフォルニア沿岸あたりに最初の放射能がつくのではないか。訴訟に熱心なアメリカ人が騒ぎ出すのではないか。

 

そのよう状況で考えなくてはならないのは自分たちの体をどう守っていくかを考えなくてはいけない。

 

このような状況、全然収束していない状況で安全、安心と言って良いのか。ここでみっちり考えていきたいと思う。この本(自著)に全部書いてある。安全、安心とは何かきちんと考えていきたい。この本に安全の定義を書いてある。元東京大学の研究員の方の意見を織り交ぜてつくりあげたものです。安全という概念です。

 

安全とはいかなる事物であってもそれが人間存在、肉体精神を傷つける、損なうものを危険という。人間存在を傷つけるものをはっきりしているもの危険という。これまで人間が集積してきた知識科学的検証したもの事物が危険であると認められないものは安全だろう。

 

もう一つ定義があってこれが曖昧なんです。今の科学で客観的検証をしても尚、安全か危険か今、言えない、分からない、今の段階でわからないものがあるんです。この第3のものについてしっかり認識しておいて頂きたい。まだはっきり科学の力を全て発揮しても安全である、あるいは危険であるかどうかはっきり言えないものもあるんだということを、認識しておかなくてはいけない。それが安全か安全でないかどうかまだ分からない。このなかで安全と言えるものはこれまでに人類が集積してきた知識で科学的、客観的に検証してもその事物が危険であると認められないもの。それだけんなんです。分からないもの、本当に安全であるかまだわからない、人間の科学がまだ及ばないこと、

 

というのは放射性元素について一番早く発見した人がマリー・キュリー博士。その友人のベクレル氏。ベクレル氏の名前は放射線の単位に用いられています。マリー・キュリーという人は放射線を放射性物質を発見したとき、放射線が人体に害を及ぼすと気づかなかった。彼女の段階の科学では安全か危険か分からなかった。ベクレル氏に至ってはラジウムを試験管に入れて、自慢してみせた。あれはどうも光るらしいです。暗いところで。二人共、放射性、放射線が原因の病気で亡くなりました。発見した人でさえも、その当時の学問の水準では危険だとわからなかった。危険だとは知らなかった。であるから、前の科学では大丈夫だと行っていたのが後でもうだめだというのは今までもいくつもあります。今の段階でわからないものを安全だといってしまうのは、危険なものを安全だと言ってしまうよりもっと罪が深い。

 

そしてもう一つ大きな問題が安全と安心は違うんだよ。

 

安全というのは、そういうふうに科学的、厳密に物を考えて言うべき事です。安心とは社会的な要請や政治的な圧力、あるいは宗教的なもので、これは安心だよ、と言ってしまう。そういうことがすごく多い。

 

福島というのは不思議なところ。何が不思議かというと日本全体で身体に浴びて良い安全基準は年間で1ミリシーベルトと決まっています。あと、放射線管理区域で働く人、レントゲン医師とか放射脳に仕事で携わる人で5.2ミリシーベルト。放射線管理区域には18歳以下の子供は入っちゃいけない。飲み食いしちゃいけない、など厳しく決められています。

 

しかし今度、福島で安全とされたのは20ミリシーベルトでいいんです。こんな高線量を安全と決めたのは世界中で日本だけですよ。日本という国は国民全体に1ミリシーベルトという安全基準がある。5.2ミリシーベルトという、特別に放射線に従事しなくてはいけない人のための規定がある。放射線管理区域の人だってのべつまくなし入っていちゃいけない。決まった時間しか入ってちゃいけない。しかし20ミリシーベルト。福島県の避難解除地域と指定された人たちはそういうところは20ミリシーベルトで良いんです。なぜ?国が安心安全だといったから。でもそんな事、まだ科学的に証明されていないし、これから後になって科学的に言われる。でも今、国は安心しろ安心しろ、とにかくという。そうすると福島の人たちたちは、この本のなかで、福島の人たちは逃げ出す勇気を持って欲しいとこの本の中で書きました。その気持ちは今でも変わらない。そんな危険なところに住んでいてはいけないと思う。それが地域の人達が圧力をかける。安全だというんだから、居ろよ、と。

 

政治的な団体も安全なんだからここに住めという。もう一つは、避難解除してしまえば、保証金もたくさん払わなくて済むだろうという欲も絡んでくる。そのように、安心と安全は違う。安心というのはいろんな要素で人工的に決められるもので、科学的なものじゃない。私たちは常に科学的に論理的に、物事を考えないといけない。

 

この間妻から聞いたのですが、栃木県のコシアブラという最高に美味しいタラの芽と甲乙つけがたいほど美味しい、そのコシアブラから高濃度の放射線がでた。大好物ですがもう栃木県のコシブラは食べられない。

 

このように被害はどんどん被害は広がっていってっている。みなさんのんびりしてちゃいけない。安全だよとか安心だというのを信じちゃいけない。きちんと考えないといただきたい。

 

もう30分しかない

 

安全安心にもう一度戻って肉体に放射線がどのように影響を与えるかもう一度皆さんときっちり考え行きたい。その中で私が一番問題にするのは内部被曝です。被爆といっても爆というのは火偏に乱暴の棒爆、晒されると書きます。放射線を浴びることを被爆といいます。被爆の仕方にも内部被爆と外部被曝があります。外部に放射線源があるもの。一番簡単な例はX線の写真を撮る時にX線のカメラというのは体の外なんです。ガンマ線と同じ電磁波でX線と同じで通過する力が強い。出て行ってしまう。あくまで外部被曝の1つの例えです。

 

我々が今回福島で体験したのは、外部被爆も大きかったのですが内部被曝が非常に大きかった。

 

内部被曝とはどういうことかというと、放射線源を体の中に取り込んでしまった場合。すると放射線が内部から人間の臓器、筋肉を放射線に晒します。その内側から浴びる放射線、これが、害が非常に大きいです。今日駅から来るときに鼻血鼻血ってポスターに貼ってあった。

 

鼻血問題を少しお話しましょう。

 

私の経験ですが、2013年4月ある方のご尽力で福島第一原発に入ることができた。それ以前にも福島を歩き回っていましたから放射線は随分浴びていました。

 

福島に1週間から10日くらい行って、福島から帰って来ると、異様な披露を感じるんです。どんな疲労かといいますと、誰かが自分の背骨を地べた引きずり下ろすような激しい疲労感。単に背中が重いとかじゃないんです。

 

福島から帰って3週間もすれば感じなくなる。

 

で、福島に行って帰ってくるとまた、そういうふうになる。歩き回るし写真も撮ってもらうから肉体的疲労もあるだろうけど、そのような肉体的疲労というのは何度も疲れる場面は何度も経験したことあります。旅行にも何度も行ったし、外をうろつきまわったこともあります。だから福島での体験というのは私にとって不思議で仕方なかった。なんでこんなに疲れるんだろう。

 

そして、福島第1原発を取材してまわる機会を与えられて、行って帰ってきてから3日ほど経って、鼻がむずむずすしたんです。触ってみると鼻血がたらーと出た。人生で鼻血など一度しか出したことがない。昔子供時代プロレスごっこをして自分の膝に自分でぶつけて出したくらい。それ以外出したことがない。ですからあわててしまってティッシュペーパーほとんど1パック使ってしまった。ほんとは鼻血が出たら寝てはいけない。頭を高くして頚動脈をぎゅっと抑えるといい。でも、気が転倒して休んでしまった。それで、どんどん出ました。

 

次の夜、夜中の2時くらいにまた鼻血が出た。そのときは慌てずに枕元にあったテッシュで抑えてじっとしていました。それが何日も、何回も続くんです。おかしいな~と思っていたんです。

 

取材の際に、井戸川さんに会うと井戸川さんの方から、鼻血出ませんでしたか?と聞かれました。出ました出ました。すっごく疲労感がある。井戸川さんはみんなそうなんですよとおっしゃる。放射線と鼻血が関係あるんだ。と、驚きました。その疲労感も井戸川さんがいつも感じておられる。すごく驚いたのが、私たちが取材の時、案内をしてくれる民俗学専門で何でもよく知っている方で、その方も、雁屋さんも?とおっしゃる。僕は君たちを案内するために先行取材で入ったから福島に長いんだ。そうしたら一緒にいたカメラマンの方も、ぼくも鼻かむと鼻血が出るようになりました、といった。へーみんな出るんだ。びっくりしました。そこにちょうど岐阜の医学研究所の松井先生がおられて、松井先生は、それは出ますよと簡単におっしゃり、色々と説明してくれました。その後北海道の西尾先生という放射線の専門家の方からも話を聞きました。直接内部被曝をすると。

 

私が理解したところは、放射性物質は今福島からこの辺まで飛んできているのは微粒な放射性物質です。原爆が爆発した時にはブルームという雲のように漂って行って、そこに運悪く雨が降ったところにその放射性物質が降りちゃったんです。それが福島は3通りに分かれます。浜通り中通り会津とある。真ん中に山脈があるので会津の方は比較的線量が低い。山脈である中通り海の浜通りは放射線が高い。福島でいろんな場所で線量が高いんですけどそこを飛んでいるのは微粒子であるということを僕は体験したんです。あるとき、ホテルの前で放射線を測っていたら、風の向きによってメーターの数値が変わるんです。安い線量計だからチラチラ点灯するんだろうと思っていたら、風によって変わるんですね。そこらへんに微粒子が充満していて風によって微粒子の濃度の分布が変わるとメーターが変わる、そういうことだと思い当たりました。

 

海岸で、薄磯というところで、海に潜ってアワビ、赤貝とかウニを取る。赤貝の中にウニをいれて焼くんです赤貝1個の中ウニをさっと入れて焼くんだそうです。焼きウニが市場に持って行って彼らが12,000円で売れるそうです。大変な儲けになるそれが目の前にあるのに磯に入ることを禁止されている

 

その時の漁師さんの話を聞いてる時に周りが0.6マイクロシーベルトありました。年間1ミリシーベルトになるために0.114マイクロシーベルト。厚生省厚労省が不思議な計算して一日に8時間0.114マイクロシーベルト。それからすると0.6は高い。しかし、そこも風で変わるんですね。やはり小さいものは飛んでくる。そこからして放射線源が小さな微粒子だということがわかりました。

 

山の葉っぱに着くから山についたものは地べたに落ちてそれをまた繰り返し繰り返しだから山はなかなか綺麗にならない。なぜ微粒子かというと、放射線の中に放射性物質はいくつもありますが微粒子の中にはセシウムもあるしプルトニウムもあるし、いろいろ入っている。その中で出てくる放射線のなかでガンマ線が非常に強い。

 

普通の安いメーターはガンマ線しか測れません。ベータ線というのは電子の流れです。α線というのは原子核の流れです。両方とも重い。ベータ線ていうのは電子だから近くに電気があるところをウロウロする。どの本を見ても書いてありますがα線は紙一枚でも通せない、ベータ線は通過する。これは小さい微粒子になって鼻の粘膜に付けば鼻血が出る。微粒子これは距離はないです。ぴったりくっついてくる。放射線の強さは距離の二乗に反比例します。近ければ近いほど放射線の力は強くなる。1センチの距離なら2乗だから100倍になる。近くなればなるほど放射線の力は強くなる。なぜ私が鼻血が出たかというと小さな微粒子が鼻の粘膜に着いた。そこから、ガンマ線も出るしベータ線もでるしα線もでる。その1番上のこれが細胞の粘膜の表面だとします。細胞だとベーター線でも犯すことができるんです。そして低線量で長期間被爆するとその効果は更にひどくなる。その結果私の場合は、細胞膜が破れ、微細血管を破り、鼻血が出た。決して強力なX線を当てた訳じゃない。ほんの鼻についた小さな微粒子がそういう問題を起こした。一番大きいのはベータ線だと思う。皆さんが頭にあるガンマ線というのは透過率が高いです。ベータ線というのは電子で力は無いけど持ってるエネルギーを飛ぶことのできる距離を伝えることができる。ですからもし距離が1ミリでも長かったらそのエネルギーを伝えるでしょう。そうすると細胞も壊れます。で、これらの何が怖いかというとですね、内部被曝を典型的に示したのが鼻血。微粒子を吸い込むと微粒子は体の様々な臓器を影響する。その場合に内部被曝を起こします。でも、今はまだ科学が進んでいないからこのような症状が放射線によって起こったと確実に言えない、あるいは言いたくない。

 

かつて無農薬農業をやっている人を訪ねました。2013年米を栽培した。全袋検査して国の安全基準は1キロ100ベクレルだけど自分たちは11ベクレルにして検査した。99パーセント11ベクレル以下。検出せずということになったんです。良かったですねと言うと、その人は、「でもね、怖いです。自分たちは田んぼに入って働く。田んぼに入る時に長靴を履く。でも、長靴なんか全然守ってくれない。作業中に放射性微粒子を吸い込む。内部被爆を負う。放射性微粒子を吸い込む。それが体の臓器につくかわからない。だからすごく怖いです」。

 

福島を助けようなんて感傷的なことを言っています。福島の農作物を買おう、米を買おう。というのをよく見かけます。最初に福島に関わったのは会津のカルガモ農法の農家の方にSOSを入れられたからです。カルガモ農法の方の完全無農薬の農家の米は完全0ベクレルでした。安全でした。それを持ってあちこち大手の有機販売業者に行きました。雁屋さんが自分で売りに来るの?と言われましたがね。そこは他の福島の農家と契約しているとのことでダメでした。漫画家の西原理恵子さんのブログに載せてくれて売れました、後でその会津の農家の奥様に泣かれました、「おかげさまで助かりました」、と言って。そういうふうに最初は福島に応援に入ったんです。でも福島を回っているうちに、これはイカンと思ったんです。作物が良くなっても、作っている福島の農家の方たちが健康を壊すではありませんか。それは福島を助けることにならないですよ、私は福島の問題については、福島の土地を起こすのではなくて福島の人間を起こすべきだという意見の持ち主です。ですから今僕は福島の農産物は買わないようにという意見です。福島の農産物の向こうに何千という福島の農民がいるからです。彼らの犠牲の上に、というのは土地にはがガンマ線にある。作物にはガンマ線が移行しない。野菜だけは安全。でも、作っている農家の方には危険。そういうものを進めていいのでしょうか。それでは福島の人たちの人間を起こすということにはならないと思う。

 最後に、福島の問題はまず政治が非常に無茶苦茶だと思う。その例の一つとして自民党の森まさこという自民党の代議士がいます。かつて自分は民主党が政権を取った時に自民党反対派だったものですから、福島の鼻血問題をどうするんだと迫った。国会に参考人まで呼んだ。それが自民党になって政権を取ると私に対して、鼻血など風評を流したと言い出した。安倍晋三首相も私を名指しで風評を流したと言います。しかし、本当に嘘をついているのは誰なんでしょうか。安倍晋三は数年前のオリンピック誘致委員会で、自分で乗り込んでいって、福島は0.3平方キロメートルで完全阻止してあると言いました。これが福島第1原発です(写真)港は空きっぱなしです。福島第1原発から汚染水がどんどん出てきています。こうゆう嘘を公然と国際の場でついたのになぜ日本人は怒らないのか。ほかの国たち人は怒っていますよ。私たちはそのような政治の風潮をまず止めなくてはいけない。福島のことを言うと圧力をかけるような政治の風潮を止めなければいけない。福島の人たちを救うために活動しなくてはいけない。そのためにはきちんと内部被曝の問題を捉えなければいけない。こういうふうに順序立てて考えなくてはいけない。皆さん、内部被曝の問題を今一度よくよくお考え下さい。